2008年5月 7日 (水)

人類は宇宙へ飛び出そう

まずは小惑星から。
http://anoda.cocolog-nifty.com/mad/2008/04/post_5f51.html
宇宙機エンジニアの野田さんの構想。大枠で賛成。
以前、小惑星周りに生活圏を築いてのんびり一人暮らしをする若者の話を、SFマガジンで書いたことがある。ちょうどあのころ野田さんとお話して、同じようなことを考えていらっしゃると聞き、意を強くした。

宇宙へ行きたいという人にはさまざまな濃淡がある。NASAに応募して宇宙飛行士を目指すほどアクティブな人もいれば、七夕の夜にだけ夜空を見上げて、ぼんやりとあこがれる程度の人もいる。
自分はその欲望がそれほど強くない。ぶっちゃけ未来永劫宇宙へ行けなくてもいい。なぜなら自分にはフィクションがあるから。夢だけ食っていてもけっこう生きていける。
しかし、夢だと思っているところを横から肩を叩かれて、君それは実現できるよと言われることほど嬉しいことはない。

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2008年4月18日 (金)

SF大会に出ます

今年のSF大会のDAICON7に出ます。
去年は本が出てなくて出る気になれなかった。
一昨年は天涯の砦書くのに必死で出られなかったけれど、今年は時間も余裕もありそうなので。
ていうか、その頃まで余裕がないなんてありえないので。
ありえない……はずだよな。

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2008年4月 2日 (水)

例の日でした

はい、というわけでエイプリルフールネタでした。
http://issui.sakura.ne.jp/ap/sorry.htm
こちらにこそっとクレジットを入れておいたんですが、気付いてもらえたでしょうか。
ちなみに英語は機械翻訳を使ったテキトー語でした。画像は87年版楽園の泉から、サイトの元ネタというか素材は本物のスリランカ政府から。
もしスリランカ人が見ていたらごめんなさい。

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2008年4月 1日 (火)

よそでも追悼

スリランカ政府が面白いことを始めた。
スリランカ政府公式サイト
まだ用地取得の段階だけど、いくつかのささいなブレイクスルーがあれば成功するかもしれない。

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2008年3月19日 (水)

クラーク氏、逝去

SF作家のA・C・クラークが亡くなった。90歳。
CNNのニュース
宇宙に銀河がたくさんあって、いくつかの、賢い生き物の住む星がある。
そのうちの一つである地球という星は、多くの小さな光る粒を引き連れていて、他の星とはちょっとだけ様子が違う。
その変化を起こした人の一人が、彼だ。

自分にとっては、本家の御当主が亡くなったような気持ち。
まったく、もたもたしていてはいけない。
西方に向かって、合掌。

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2007年9月25日 (火)

マグネシウム・レーザー・エネルギーサイクル

東京工業大学、矢部孝教授の研究。
MIXIで話題になり、調べたら非常に面白かったので話のネタにしようと思っていた新技術が、あっさりと日経サイエンスに載ってしまった。まあ、雑誌に載ったということは箔がついたと言えるわけだから、喜びつつ、紹介してみる。(出典:日経サイエンス07年11月号、および、http://www.jspf.or.jp/Journal/PDF_JSPF/jspf2007_06/jspf2007_06-578.pdf)

これはカーボンフリー、つまり二酸化炭素を出さないエネルギーサイクルの構想だ。そのキーとなるのはマグネシウムとレーザー。
マグネシウムを燃料として捉える、というところが発想の起点。マグネシウムはよく燃える。昔はストロボの発光剤として使われていた。純粋なマグネシウムを水につけると発熱しながら水素を出す。その水素は燃えるのでさらに熱を出す。このプロセスで1Kgのマグネシウムから25メガジュールの熱が出る。これは石炭の熱よりも17パーセントほど低い値だが、マグネシウムは石炭と違って灰や煤を出さない、二酸化炭素を出さない、リサイクル(還元処理)できるという利点がある。
粉末のマグネシウムを、石炭と同じような燃料資源だと考えよう、ということが第一のポイント。

いっぽうで矢部教授は、ネオジムYAGクロムレーザー素子という、一種の結晶を開発した。これは写真によれば、緑柱石にちょっと似ている綺麗な固体で、強い太陽光を受けるとレーザーを発振する性質がある。レーザーを出す素材自体は以前からあるが、新しく作られたこの素子は変換効率が高い。太陽光の波長のうち、今まで利用できなかった短波長の部分まで利用する。そのため、とても強いレーザーを発する。
また、素子に光を当てるための光学装置として、フレネルレンズ、つまりOHPの天板のような板を利用した。これは加工が容易で、反射鏡や凸レンズよりも調達しやすく、軽いという利点がある。
太陽光をレンズで集めただけでは、太陽表面の温度、6000度を超えることはない。これは、熱は高いほうから低いほうへ移るという、熱力学の原則のためだ。しかし、自然状態の太陽光はさまざまな波長の光の混合物でしかない。この混ぜ物を、一つの波長の光に収斂させれば、エネルギーの密度はずっと高くなる。単波長の光とはレーザーのことだ。
つまり、レンズで集めた光でレーザーを発振すれば、太陽表面より高い温度が得られるということだ。
矢部教授はこの仕組みで、摂氏二万度を達成することができると言っている。これが、第二のポイント。

さて、第一と第二のポイントは、それぞれ単体では使いにくい技術でしかない。
マグネシウムを燃料とみなせるといっても、それ自体の産出量が少ない。現在、マグネシウムの多くは、中国で多量の石炭を消費して精錬されている。おびただしい二酸化炭素を排出するし、価格も安くはない。燃料として使うのは難しい。
また、二万度のレーザーが出せるといっても、良好な日照があることが大前提だ。砂漠や、低緯度地方が好ましい。しかしそういった地方にはレーザーの需要がない。そもそも二万度のレーザーを必要とする工業分野が未発達だ。
そういった、ちょっと役に立つかどうかわからない技術を、二つドッキングさせて役に立つものにしようというのが、今回の構想。

二万度のレーザーがあれば、単にそれを照射するだけでマグネシウムを生産できる。
マグネシウムを燃焼すると、酸素と化合して、白いさらさらした酸化マグネシウムの粉になる。この化学反応は強力で、酸素を分離してマグネシウムに戻すのが、従来は難しかった。使い捨ての触媒と、石炭などの膨大な熱源が必要だった。しかし、高エネルギーのレーザーを使えば簡単に還元できる。
石炭に近い熱量を発する粉末が、廃棄物なしでリサイクルできる。
廃棄物を出さない燃料というと、水素がある。しかし水素は貯蔵が難しくて、技術者を悩ませている。マグネシウムなら、そこそこの防水性のある包みに入れて、倉庫にでも積んでおけば何年でももつ。
また、密度が高いので輸送もしやすい。砂漠や赤道地帯で製造したとして、船を使えば水素よりずっと簡単に世界各地へ運ぶことができる。

そして、肝心のマグネシウムの埋蔵量はといえば、無尽蔵に近い。海水中に溶けているからだ。「海水中に金が溶けている」という言い古されたトリビアがあるが、あれは希薄すぎて採っても元が取れない、というオチだった。しかしマグネシウムはもっとずっと多い。食卓塩の成分表示にも書いてある。
赤道地帯で海水からマグネシウムを分離すれば、そのマグネシウムを資源として販売、移送できるだけでなく、精製した真水を供給することもできて、一石二鳥だ。
ただ、海水淡水化技術のくわしいことは、特許に関わるのでまだ明かしていない。
この構想を元に、2010年の稼動を目指して、アラブのドバイで実証プラントの建設を予定している。

将来的には、太陽光レーザー発振技術を応用して、砂漠で発振したレーザーをいったん衛星軌道に飛ばし、反射衛星で高緯度地方に落として、発電や加工に用いることもできるだろう。
また、衛星から航空機にレーザーを当てることも考えている。これはなにも撃墜しようというのではなく、航空機に水を積んでおいて、それを機外へ放出すると同時にレーザーで加熱しようというのだ。すると水蒸気爆発のような強力な膨張が起こって、推進力が得られる。現在、航空機のほとんどは大量の二酸化炭素を出しているが、それが大幅に減る。
それに、船舶のエネルギー源とすることもできる。
将来はマグネシウムを基軸とするエネルギー体系を築くつもりだ、いや、できるだろう。

――というのが、矢部教授の構想。
いま世界では、ここ数年、太陽電池の開発生産がすごい勢いで進んでおり、先行きが大変楽しみな状況になっているのだが、このマグネシウムサイクルの構想にはそれを上回る雄大さがある。すごく期待させられる。
とはいえ、いまの世界を根こそぎひっくり返すような構想だから、そう簡単に実現するとも思えない。素人なりに考えても、マグネシウム燃焼の内燃機関は開発が難しそうだ。
燃料電池の水素源としての利用が期待されているが、小川としては、外燃機関が復活すると面白いな、と思う。
 すなわち、マグネシウム燃焼の蒸気機関車だ。これなら新しい技術開発はまったくいらない。大井川鉄道へいって、C12の火室にそのまんまマグネシウムを投入しても、おそらく動かないことはないんじゃないかと思う。もともと外燃機関は、熱さえありゃあうごく機械だ。機関車の火室では、その底に灰が溜まる仕組みになっている。酸化マグネシウムはそこで回収する。
 いや、いっそボイラーの中に直接投入してもいいんじゃないか? 発熱による水蒸気と、水素が出てくる。それでピストンを動かす。
 ……なんだか爆発しそうで、非常に危険な気もするが。
 ともかく、ハイテクで作り出した燃料だからと言って、ハイテクに使わなきゃいけないという縛りはない。効率は落ちるだろうけど、マグネシウム焼き芋とかマグネシウム風呂もありかもしれない。

他にもいくつか、問題点を思いついた。矢部教授の構想では2メートル四方のフレネルレンズで、わずか1ミリほどの太さのレーザーを出しただけだ。実用化に当たっては、膨大な数の装置を設置しなければならないだろう。
それに、レーザー素子に使うネオジム・イットリウム・ガリウムなどは、いずれも希土類や希少金属で、産出地が限られる。資源エネルギー庁によれば、9割が中国で生産されている。供給が不安定になるかもしれない。
しかしあら探しばかり探しても仕方ない。将来を楽しみに待つことにする。

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2007年5月15日 (火)

オリンポス見学

「メーヴェのような一人乗り飛行機の実機」を、ネット上で見たことはありませんか。
 週末は、それを作っている有限会社オリンポスへ見学に行って来ました。飛行機を作っている会社です。国内で他に飛行機を作っているのは三菱などの大メーカーばかりらしい。

Orimpos001

翼の中の構造。翼面はうすいシート張りになる。

Orimpos002

胴体の中の構造。平面の組み合わせで造形できるところは木、そうでないところがFRPだそう。

Orimpos003

翼の前縁を形作る薄い合板。厚さ1ミリだが、斜めカットでノリシロを15ミリも稼いで接着している。

Orimpos004

汎用のゴムタイヤを使う主車輪を、このカバーで覆う。荒物屋にタイヤを持っていってサイズの合う鍋を探し、それを雌型にしてGFRPを成形した。

今回は風邪を引いてマスクをしたまま見学していたが、いま振り返ってみると機体のことをあまり質問していなかったことに気づいた。思考力が落ちていたらしい。
「メーヴェは空力的に最適な飛行物体じゃない。けれど、最適なものを作るばかりが能じゃない」
 なんだかこう、自分が作ってるものについても考えさせられる話がいろいろ出ましたよ。

オリンポスホームページ

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2006年12月22日 (金)

ニセ偽科学

大阪大、まん延するニセ科学を見分ける機器開発
しまった、なぜこれを思いつかなかったのか。

前後の脈絡をここで紹介していないのでアレですが、なんだこりゃと思った方は「水からの伝言」でぐぐってみてください。

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2006年12月14日 (木)

クラークの

 楽園の泉を読み直していたら、インターネットと検索エンジンとメルマガ(あるいはブログ)のことが書かれていた。まったくこの人は。
 ただ、さすがにそれが私企業の仕事になることまでは予測されていなかった。出版からわずか27年後には当たり前になっていることも。(作中設定は2150年頃)

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2006年11月24日 (金)

25日土曜日、東京でサイン会します

 明日土曜日の午後二時から、東京・秋葉原の書泉ブックタワー9階で、作家の冲方丁さんとトークショー&サイン会をやります。

そのために、早川からいただいていた冲方さんの最新刊、マルドゥック・ヴェロシティ1~3を通読。
プロローグに目を通したとき、一風変わった羅列的な文体に抵抗を覚えて、数日放っておいたんだけど、いざ腰を据えて読み始めると、これが恐ろしいほどの面白さ。文体への抵抗もいつしか忘れて、一気に読みきってしまった。ああ寝不足。

前作に当たるマルドゥック・スクランブルを読んだのは数年前(そのときも冲方さんと対面する直前だったな)。忘れている部分もあったが、いくつもの記憶が「ヴェロシティ」のおかげで呼び覚まされた。ウフコック、ドクター・イースター、ボイルドの三人の過去が濃厚に描き出されているのは当然として、そういえばこんな奴もいたなあ、という端役もきちんと拾われていたのでにやにやした。
文体の違いは気にならない、というよりも、「ヴェロシティ」を読んだ後、いま「スクランブル」を読み返してみると、旧作の文体が冗長であるような気さえしてくる。もちろんそれは錯覚なのだけど、新作の文体は、畳みかけるようなストーリー展開と相乗して、大変なスピード感を生み出している。これはありだと思った。

いろいろ感想を話すつもりなので、明日はどうぞご来店を。

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2006年11月21日 (火)

舌の方向

 まぐろ漁獲量が大幅に制限される、と今朝のワイドショーでやっていた。安い赤身のマグロをトロのようにして食べる技、ということで、スタジオにマヨネーズまぐろが出た。コメンテーターたちはむやみとケチをつけていたが、中で一人、「安い赤身は赤身なりにおいしいから(そんなことをする必要はない)」とうまいコメントをしている人がいた。ああ世渡りとはこうやってするんだなあと思った。

狂牛病、鳥インフルエンザ、裏ポークと来て、今度はマグロ飢饉。ひょっとすると自分たちは、天然のたんぱく質を庶民が好き勝手に食える、地球最後の世代なのかもしれない。
だから、そうだ! どんなにジャンクなたんぱく質でも気にせず食べられるような舌の鈍さは、むしろ喜ぶべき? ――などと一瞬考えてしまった。そんな後ろ向きではいかん。

文明が崩壊しない場合、近い将来にたんぱく質といえば養殖もののことになり、さらに未来には組織培養されるブロック肉が当然になるだろう。牛に餌食わせて育てるのはいろいろ無駄だから。
それはそれで楽しみなので早く実現するといい。

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2006年10月 2日 (月)

日本人の宇宙移民

>七月末のセレーネ・シンポジウムでの発言について、変更したい。あの時は宇宙植民についての考えがまだ浅かった。

 今日は、このことについて。
七月末、月探査機セレーネの打ち上げを来年に控えて、振興シンポジウムにパネリストとして出席しました。その席上、日本人が移民したがるかどうかについての文脈で、満州とブラジルについて言及しました。
曰く、日本人は島国に引きこもる民族だと思われがちだが、過去に満州やブラジルに、移民として出て行った史実がある。だから日本人だって、気質上、進出する気がないわけではない。宇宙にだって行けるだろう。
「先方には迷惑もかけましたが」のひとことをつけた上で、そう意見しました。

 しかしその後いろいろ調べてみると、この二つは移民問題を語る上で不適当だったと思われてきました。
まず、満州建国という運動は、それが侵略だったかどうかを脇においてもなお、あまり成功した活動ではなかった。よく語られるのは、満州国が関東軍の傀儡国家として作られ、諸外国の顰蹙をかったという話ですが、ではそこまでやって日本が得をしたかというと、あまりしていない。
1931年の満州国建国以前に、日本人が何をやっていたかというと、国策会社である満鉄の周辺事業をやって、内輪の経済を回していただけだった。出先で中国人、満州人、あるいは(当時のいわゆる)朝鮮人、蒙古人といった人々と、本当に五族共和をやろうとした人間はごくごく少数だった。景気のいい占領地で一山当てて、儲かったら日本に帰ろうという、山師みたいな連中が多かったらしいですね。満州が国になったとき以降は、言うまでもなく農業移民の悲劇があった。

 ブラジルはブラジルで、棄民と言われるほどひどい扱いがあった。移住はしたものの、ろくに作物も取れず、本国のサポートもなく、ほったらかし。留まることも帰ることもできずに一村全滅したところもあった。

 両方に共通するのは、移住を主導したのが国民でなく政府であり、しかも粘り強さや考え深さを欠いたということ。移住した人々にしても、現地に根付こうとした人はあまりなく、最終的には国へ帰ることを考えていたらしい。つまりは日本より居心地のいい第二の故郷を見つけられなかった。
そういうわけで、この両移民を引き合いに出して宇宙移民を語るのは不適当だという結論になりました。 

 アメリカを作った初期の英国移民や、アルゼンチンに入植したスペイン人、それにディアスポラを経験したユダヤ人などに比べると、やはり前後の事情というか、どうしても移民しなければならないという必然性が足りていない、と感じさせられます。
これは、「日本人」というくくりで移民を語るのがよくないってことなのだろうな。むしろ、宇宙移民を考える際には、国境に縛られない方向でいくのが正しいのかもしれません。

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