H-2B見聞記、およびバイク旅行
今さらなんですが、最近コンテンツがさびしいので、2月に行ったロケット取材と、4月に行ったバイク旅行のレポートを書きました。大きな写真で上げたかったので、久々(四年ぶりだよ)に小川遊水池のほうのサーバを使っています。

Rep.15 三菱重工飛島工場 H-2B見聞記
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今さらなんですが、最近コンテンツがさびしいので、2月に行ったロケット取材と、4月に行ったバイク旅行のレポートを書きました。大きな写真で上げたかったので、久々(四年ぶりだよ)に小川遊水池のほうのサーバを使っています。

Rep.15 三菱重工飛島工場 H-2B見聞記
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日経サイエンス07年12月号は以下のように述べている。
1960年には10億人が飢えていた。
2007年には8億人が飢えている。
こういう言葉はよく聞かれる。あまり改善していないという論調で使われる。
でも俺としては、同号の示す次の言い方のほうがいい。
1960年には20億人が腹を満たすことができた。
2007年には56億人が十分に食べている。
何この驚異的な伸び。
こういった人間のしたことの成果が十分に知られていないと思う。
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六、七日と、京都で開かれたJAXAの宇宙探査シンポジウムに行ってきました。
去年から来年にかけて、世界で五つ以上もの月探査機が上がるんですが、そんな月ブームの一環と言えるイベントでした。
06年9月 SMART-1 (ESA、欧州宇宙機関)
07年4月 嫦娥1 (CNSA、中国国家航天局)
07年夏 SELENE (JAXA、日本宇宙航空研究開発機構)
08年初頭 チャンドラヤーン1 (ISRO、インド宇宙研究機関)
08年秋 ルナ・リコネイサンス・オービタ(NASA、アメリカ航空宇宙局)
NASAのスペースシャトルとISSの時代が終わって、多極的な宇宙開発が始まっている(あるいは、始めようとしている)。そんな世相を反映して、荒削りなところもあるけれど、やる気があふれているように感じました。
二日のシンポのうち面白かったことを列挙すると……
・JAXA理事、樋口氏の物腰。宇宙開発は昨今、技術と国防に偏重してきたが、ここらでもう一度、原点である「知の探求」に返ろうという提言。
・岡山大学地球物質科学研究センター、中村栄三教授の講演。はやぶさが持ち帰る予定のサンプルを分析するはずの人。物質の性質とは、その物体が経てきた影響を時間積分したものであり、分析によってさまざまな過去のことがわかるという話。太陽系よりも古い塵、プレソーラー粒子が見つかっているとか、酸素同位対比から地球と月が兄妹であることが明白であるとか、月のホウ素やリチウムの中性子捕捉の具合を調べれば、46億年の太陽活動の記録が読み出せるとか、いろいろと刺激的なことが。
「はやぶさが帰ってきたら、どんなサンプルだろうと我々が責任を持って分析します」という自信に満ちた断言は格好よすぎ。
・読売新聞編集局科学部次長、保坂直紀氏。インパクトで言えばこの人が最高だったかも。冒頭から「宇宙開発分野は閉鎖的なムラ社会なので、もっと開放してもらわなくちゃ困る」。シンポジウム自体を、内輪の盛り上げイベントだといってみたり、JAXAの欠点、たとえば失敗を失敗と言わない(不具合だとか部分的成功と唱える)慣習や論文執筆のために情報公開を渋る体質などを非難して、会場を静まり返らせていました。
とどめに、宇宙開発なんかなくても困らないんだから、その必要性をよく周知させてくれ、と。
何がショックだったって、ああその通り、と自分がうなずいてしまったのがショック。ぶっちゃけ月に基地を送る技術があればサハラ砂漠にでもどこにでも基地を作れるわけで、明日のパンのみを追及するならそんなもんやらないほうがマシです。人間が猿より上等だと自認するためやってるのが宇宙開発ですが、別に猿でもいい、と言われたら反論しようがない。これは自分も第六大陸のころから悩んでいること。考えさせられました。
まあ、科学部次長なんて肩書きの方が、科学を知らないわけがないので、これはあえて刺激的な発言をしてリアクションを見ようとしたのだと思います。それにしても勇気のある人だった。
しかし、そういう人を招待できるうちはJAXAも大丈夫。
・国際未来科学研究所、浜田和幸氏。話がよくわからなかったので開始10分で退席。
・慶応大学 青木節子教授。宇宙開発にまつわる法律の話。第六大陸でもちょっと出しましたが、地上の法律はまだ全然宇宙をカバーしきれていなくて、いろいろと不具合があります。この方はその方面の専門家。面白い話が聞けました。赤道諸国が静止軌道の領有を主張した話とか、宇宙物体は元々国籍を持っていないとか。
以上、一日目。
二日目は各国宇宙機関のお歴々の講演。これからいろいろな枠組みを作って共同事業をしようというイベントなので、基本的には仲良くしようぜみたいな話が多かったですが、細部に入れば入るほど食い違いが出ていました。
NASAのグリフィン長官は無難なことしか言いませんでしたが、ESAのドーダン長官は、西欧人らしくしきりに、「個別の利益と、全体の利益のバランスを取ることが大事だ」「NASA(ナーザ、とフランス風に発音していた)だけではなく、我々はロシアとも共同している」、と牽制球を投げまくり。
英国立宇宙センター長のウィリアムズ長官の講演は、極めて共感できるものでした。少し長くなりますが、聞き書きメモを抜粋で貼り付けます。
・探査はこの世界を理解する行いだ。イギリスは昔から探検してきた。金星の太陽面通過を狙って世界中に船を出した。100人ぐらいのうち半分近く死んだが、その甲斐はあったといわれた。
・利益とコストをどう考えるかだ。
・100年前は、南極に到達してから基地ができるとは思われていなかった。が、今ではできている。南極はロジスティクスに頼っている。補給と任務のバランスが重要。
・民間に担ってもらうのもいい。
・一般人は悲観的な考えを持ちがちだが、考えは変わっていくものだ。説得しよう。
・財務担当者にも理解してもらわねばならない。
・選択とリソースの集中をせねば。
火星か、月南極か、月構造か。科学か、技術か、ビジネスか。
・ドイツで10年ぐらいGEOをやっていた。その時は69カ国でフォーマットとプログラムを決めた。必要なのはコミットメントだ。こういうプログラム作りは柔軟性を持たねばだめだ。
・目標は定義可能なものでなければだめだ。
・イギリスは長期的な構想と短期的な構想を持っている。
短いものでは、2つの可能性のある月探査。ムーンライトはペネトレーターであり、他の惑星でも使える。
ムーンレイカーは軟着陸するものである。前回はハードランディングしてしまったが。
既存のものを利用して将来に挑む。
・長期的な計画は、現在イギリスのいくつかのグループが有人について検討している。この夏、レポートが出るはずである。
現在のイギリスは無人重視である。
・短期的な観点からは、有人計画はコストが高い。しかし長期的に見たら重要だ。イギリス人は今まで有人計画には受身だったが、決して反対というわけではない。
・科学的なのか、利用なのかも考えていかなくては。
・イギリスとしてはGESを支援していきたい。一般市民を捕らえてイマジネーションさせたい。
・探査とは外へ出て行くことだが、ジム・ラヴェルいわく、出て行くことで地球を知ることができる。
以上。
一般人の理解を積極的に求めるスタンスと、知への欲求を率直に語ってくれた態度が素敵でした。
二日目午後のパネルディスカッションは月探査への期待と言うタイトルでしたが、これが一番荒れたと言うか、バラバラでした。ドイツ航空宇宙研のライレ氏が「月探査はレースではないし、火星へのステップでもない。それはそれ自体で価値がある」と言ったそばから、近畿大の河島信樹教授が「宇宙開発はオリンピックである、金メダルを取らなきゃ意味はない」とぶち上げ、それを樋口理事が「月に金メダルはないんですね、月のオリンピックはもう終わっちゃってるから」とフォローしたり。司会のニュートン編集長、水谷氏が四苦八苦していました。
私はここで、「月には炭素や窒素や、有機物などがなくて、生命の拡大再生産ができませんが、それをどの程度意識していますか。一部の小惑星にはそういうものがありますが、それを採取するつもりなどは」というような質問をしましたが、これはいろいろと失敗でした。言葉の定義とか、言い方とか、予想と事実を混ぜているところとか。
河島教授には有機物より水だ、水があるかないかの方が問題だと言われ、星出飛行士には月面機に備えられる生活設備の説明をされ、樋口理事には、六ヶ所村でリサイクルを研究している人がいるが、そういう形で生命を維持していくことになる、と教えていただきました。
私が期待した答えは、地球外での生命材料の調達も考えているというものでしたが、どうも認識が間違っていたらしい。月や宇宙に生活資源がないのはそもそも承知している、それらは地球からの持ち出しとリサイクルで賄う、というのがその場の共通認識だったようです。
質問のレベルが足りなかったようで、反省。
おしまいはパネルディスカッション2、JAXAの宇宙探査への取り組みへの期待。
漫画のプラネテスが(多分)参考にした、宇宙のゴミ問題-スペース・デブリ-という本の著者の、九州大の八坂教授が面白い話をぶち上げていました。今から50年かけて木星開拓をやろうという壮大なもの。
結論から言うとスルーされていたんですが、きちんと考証されていて興味深かったです。さよならジュピター・リアル版みたいな感じ。H-2Aロケット二段目のLE5を使って計算していたぐらいリアル。
おまけですが、これの行き帰りは愛知からバイクで行ったので、寒くて大変でした。
特に帰りの米原は高速走ってるときにみぞれが降ってきて、死ぬかと思った。
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JAXAの大型月探査機セレーネが、一般の方の署名を集めています。
http://www.jaxa.jp/pr/event/selene/index_j.html
http://www.planetary.or.jp/selene/(携帯アクセス用)
名前とメッセージをJAXAへ送ると、シートに印字され、探査機が月へ運んでいってくれるという寸法です。打ち上げは07年の夏。何十年か後に誰かが月で開封して、おやおやと思ってくれるでしょう。
以前も同じキャンペーンがありました。幾多のトラブルを乗り越えて、火星到着寸前までいった探査機「のぞみ」や、太陽の反対側の地点まで出かけた、小惑星探査機「はやぶさ」も、署名を運んでいきました。それぞれ27万人と88万人。私はのぞみには参加しましたが、はやぶさの時は忘れてました。
さあ、今回は何人行くかな。
試しにいま参加してみました。フォーム形式で、名前とメッセージ(20文字)、年齢、性別、都道府県とメアドを入力。送信すると、折り返し確認メールが来るので、メールのURLをクリックして終了。ちょっとめんどいな。でも、前は葉書だけだったんじゃなかったか。
参加資格は自由なようです。国籍、宗教、イデオロギー問わず。
こりゃあれだな、こちら郵政省特配課の中で、鳳一と美鳥がぶっ潰しちゃったプロジェクトだな。
成功しますように。
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金子隆一氏の「究極のサイエンス 不老不死」を読んだ。現在の科学の延長上に不老不死があり、それが可能であることが、わかりやすく書かれた本。
感心したのは、この本をSFファンでもなんでもないうちの親に見せても、多分半分ぐらいは通じるだろうなと思わされたこと。「部外者にもわかりやすく書く」というのは自分で意識していることの一つなので、うなずかされた。
主にSFマガジンなどで、人類の生産手段から技術的制約がなくなり、人間が肉体を離れた時代(近頃はそういう転回点のことを、シンギュラリティ・ポイントを越えた、というらしい)のことを何作か書いたことがある。でも、こういう本が一般書として出回る時代には、あの程度の内容ではいかん。
もっと面白いことがいろいろできるよな。
金子氏の本では、「新世紀未来科学」もおすすめ。……って、どっちも品切れ? もったいない~。
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4日の記事で、イギリスの鉄塔が小さいと書いた。日本の鉄塔の規格が最大で76万ボルトであると記憶していたからだけど、どうもうろ覚えっぽかったので調べなおしてみた。
すると、76万という電圧ではヒットしない。最新最強の超高圧線は100万ボルト(業界では1000KVという表記をするようだ)だと出た。その下に、各地をつなぐ50万ボルト、27万5千ボルト、15万4千ボルト、6万6千ボルトの各規格の幹線があり、そのまた下に6600ボルトの電柱線があるらしい。
ともかく、イギリスの一地方の鉄塔を見ただけで日本より小さいと断じるのは、不適当だと気づいた。単に印象として、華奢な感じがしたと述べておくにとどめたい。

写真:サリー州の鉄塔
日本に鉄塔が多いという印象はどこから来るんだろう? ひとつの理由として、山地が多いために地下ケーブルが埋められず、実際に鉄塔が多いということ、もうひとつに、山上の鉄塔が目立つということがあげられるんじゃないかと思う。
絶縁の問題から、あまり電圧の高い線は埋められないとも聞いた。しかし、いかん、これもうろ覚えだ。知らないことが多い。
送電鉄塔はその特異な形状からマニアがいて、ファンサイトも作られている。掘り下げていくと面白そうなので、今後意識してみることにする。
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九月に打ち上げられた太陽観測衛星ひのでが、さっそく成果を送ってくれました。
http://hinode.nao.ac.jp/news/061109MercuryTransit/
動画が美しい~。
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中日新聞の夕刊に夕歩道というコラムがある。今日はちょっとひどいことが書かれていたので、言及しておく。
以下、10月3日中日新聞夕刊「夕歩道」を転載
――――――
今ごろはどのあたりを飛んでいるのか。太陽観測衛星「ひので」のことである。見つかるはずはないが秋の夜空を見上げたりする。先月二十三日、M5ロケットによって鹿児島県・内之浦から打ち上げられた。
M5は固体燃料を使う世界最大級のロケットだという。だが、いかにもコストがかかりすぎる。液体燃料のほうがはるかに安くつく。といったことからどうやら最後の固体燃料ロケットになりそうな気配である。
世は液体燃料の時代らしい。ロケットばかりではない。私たちもまた液体燃料で動いているような気がする。ペットボトルのお茶や清涼飲料水をやたら飲む。動物には本来、固体燃料が不可欠と思われるのだが。
――――――
以上
いかにもコストがかかりすぎるというが、「いかにも」でもなんでもない。固体だから高い、液体だから安いなどという理屈はない。とはいえ、M5ロケットは低軌道に2tをあげるために約65億円かかり、同10トンを80億円であげるH-2Aより割高であることは確か。
しかしM5には、現在削りだし製作のロケットを、フィラメントワインディングという新技法で作り変えることで、30億円台にコストダウンできる見通しがあった。それに要する技術開発比は100億円で済むという見通しだった。
しかるに、M5の後継に予定されているSRB-A流用の小型ロケットは、外国のロケットエンジニアか「M5を捨てて新型を取るなんて、日本もずいぶん気前がいいね」と皮肉られる代物。また、同じような後継中型ロケットと目されているGXロケット(液 体ロケットだ)にいたっては、100億円の予定だった開発費が350億円にまで膨らんでしまった。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060926ik21.htm
「世は液体燃料の時代らしい」などという言はまったく当たらない。
ここまで書いてから気づいたけど、この人、もしかしてM5を惜しんでるのか? だったらなんというか……モウチョットピントノアッタ惜シミ方ヲシテクレヨ。
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昨日は皆の興味がロケットに偏りすぎたことを嘆いたが、事情を聞くにつれ、それも仕方ないという気がしてきた。輸送システム(ロケット)だけでなく、宇宙研を含むJAXA全体の体質がお役所的になってきている。ここでいう役所的というのは、宇宙探査という本来の目的に向けた資源や人の配分が最適化できておらず、組織維持が目的化している状態のこと。雑音が多くて、フロントの人が仕事に集中しにくくなっている。
そういったことを話すのは本意じゃないんだが、こう、どっちを向いてもダメな話ばかり聞くと、無視してもいられない。はっきりいうと今のJAXAは宇宙開発をやる気がない。宇宙に興味がないのに、地位の安泰や収入を目当てに入っている人が少なくない。迷惑な話だ。(全然自覚がないのに組織を疲弊させている人──今日会ったある方いわく「イノセントなんですよね」──もいる。また別の意味で困る)
だが、どうすればそれを改善できるか、ここでは話さないことにする。そういう状況だと意識するだけにしておく。
別の、腑に落ちた話。
SOLAR-Bについて今ひとつおのれの理解が足りないように感じていたが、今日、あるプロの人から聞いた話で、なぜピンと来ないかがわかった。
その人によれば衛星を飛ばす人は二種類いる。一種は百科事典の項目を付け加えるために衛星を飛ばす人だ。もう一種は自分がやる代わりに衛星にやらせる人だ。
はやぶさは後者の衛星だった。多くの人が、自分が着地する代わりに着地したはやぶさを、小惑星上に見た。俺もその一人で、虚空の小さな岩塊の上でバウンドする手作りの機械を想像して、共感した。
ところが、SOLAR-Bは前者の分類になる衛星だ。これはもちろん素晴らしい──ガリレオ以来の望遠鏡天文学の系譜に連なる優れた代物で、知の地平をまた一歩広げてくれる。
しかし、そこに自分を代入するのが難しい。太陽を見るという行為が目新しくない。
いや、目新しくないからって敬遠していてはいかんのだが、理屈としては納得した。
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5人どころじゃありませんでした。
雑誌一冊作れる人数。
今回打ち上げられる衛星は太陽観測衛星なので、ずっと太陽を見ていられるよう、地球の明暗境界を縦にぐるぐる回る。これは地上の人間にとって、「夜明けか日暮れが打ち上げ時」であることを意味する。だから23日の本番は朝6時に行われる。
リハーサルも同じ時間。今日の朝6時。それに参加したのだが、早朝のリハーサルに間に合うよう徹夜でドライブしてきたので、ちょっと体力不足になってしまった。
M-Vの取材は二回目。前回は打ち上げ前日に訪れて、打ち上げ延期によりすぐ帰ったので、ほとんど何も見ていないのに近い。(ぶっちゃけると、事前勉強不足による取材失敗だった)
その時の教訓により、今回はリハーサルから顔を出した。おかげで施設や雰囲気を見られた。その時気になったことが一つ。
今回はおそらく、M-Vロケットの最後の打ち上げになる。今後は別のロケットが使われる。次期ロケットの案はいくつかあるが、まだ決まっていない。その案にしても、万人が納得するような優れたロケットが考えられているわけじゃない。ロケットの性能や価格以外の要素で、その交代が検討されている。
それで、今日の取材ではM-Vロケットの性能や改良点とともに、ロケットの世代交代についての質問が、宇宙研広報と報道陣との間で交わされた。
気になったことというのは、そこ。ロケットの話ばかりが多くて、積荷の話があまりなかったことだ。
今回のロケットの積荷はSOLAR-Bという太陽観測衛星。下の記事のリンク先に詳しく書いてあるが、三つの観測機器で太陽を調べる。大型可視光望遠鏡SOT、X線望遠鏡XRT、極端紫外線撮像分光装置EISの三つだ。
このうちSOTは可視光と名がついているから、きれいな写真を撮ってくれるだろう。また、SOTとXRTはコロナ加熱の謎を調べてくれる。太陽の表面は6000度程度しかないのに、太陽の周りのコロナは100万度にもなる。なぜそんなことが起こるのか、という疑問に答える研究だ。
そういった研究についての話が、今朝は出なかった。広報の人がロケット担当の人で、衛星担当ではないためもあったが、話の焦点は衛星よりもロケットだった。
種子島に行ったとき以来感じていたけど、俺はどうもロケット狂の血が薄いらしい。大きな音を上げて火を噴いて飛んでいくものを、それだけで無条件に素晴らしいと思うようにはできていないようだ。熱狂している人たちがうらやましくて、そんな風に感動したいと思って、種子島に行き、また内之浦に来ているところがある。(今回の打ち上げで何かに目覚めるのかもしれないけど、あまり期待はしていない)
ロケットを少し離れて見ている。最近、ようやくそれを意識しだした。
宇宙開発には期待を抱いている。この際、甘い夢を一切抜きで言ってしまうと、死ぬまでに自己増殖型ロボットが他天体にいって発展的な拠点を作り始めるか、もしくは、エウロパや火星地下やイオあたりで、進化した多細胞生物が見つかること、これぐらいは期待している。そこまでやってくれれば、ああ人類もなんとか末広がりでいけるな、と信じて死ねる。行ってほしい。
そういうことを考えた頭で内之浦に来ると、宇宙研の設備の珍しさやロケットの出来のよさに感心する気には、あまりなれない。面白いな、よく考えたなとその場では感心するけど、そこで納得していちゃいかんだろうという気がする。俺の仕事は、もっと馬鹿なことを考えることだ。ロケットが年間百万本打ち上げられるような世界を、たとえば考えることだ。ロケット部品の細かい数値を覚えることよりも、それがあるとないとでは世界がどう違うのかを考えた方がいい。(だいたいロケットの細部まで理解したら本職の学者や技術者にかなうわけがない)
そういう筋道で考えてくると、ロケットよりも衛星の話をしたくなる。したいけれど、今日は予習が足りなくてSOLAR-Bについて理解や疑問を抱けなかった。誰も衛星の話をしないことについて、何も言えなかった。
ロケットに乗せて打ち上げられる以上、衛星の仕事は面白いに決まっている。その面白さを、実物や責任者を前にしながら、うまく引き出すことができなかった。外に出せるような自分の言葉に翻訳できなかった。
それが今日の反省点。
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