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2007年11月24日 (土)

妙なる技の乙女たち/エンジン音

年初にポプラ社のAsta*誌で連載した「妙なる技の乙女たち」全8話の、加筆修正が完了。遠からず本になります。

6fの走行距離はまもなく500Km。我ながらこの寒いのによく走る。
低速から高いギアで加速したときの鼓動音を、じわじわと気に入りつつある。擬音であらわすと「ビコビコビコビコッ」という感じの、高からず低からず、微妙にユーモラスな音。あれが大好きだ。
これまでは、バイクで名古屋に出るというと、つい駐車の手間や盗難のリスクを考えてしまったが、今はむしろ、バイクに乗るために、名古屋へ出る用事をひねり出している。
「フライボーイズ」を見てきたり。

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2007年11月20日 (火)

前傾姿勢の意味

どうやったらコーナーでうまく曲がれるだろう、といろいろ試していたところ、ふと気づくと、タンクを抱え込むように体を前傾させて、進みたいほうに肩を押し込んでいた。
つまりレーサーの姿勢はこうして編み出されたのか、と納得しつつ、結局誰でもやっていることを真似するだけになるのだと思うと、なんだか悔しかった。

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2007年11月18日 (日)

峠を走ってみた

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峠といっても岐阜城金華山なので、たいしたことはないんだが。
直線道路では「なめらか加速機械」のように感じられる6fが、カーブの打ち続く登りに連れて行くとメチャクチャ楽しい旋回機械に化けた。SRより乾燥で22Kgも重いのに、軽々と坂をかけあがり、軽々と倒れる。膝がぴったりはまる感じで、ニーグリップしやすく、まだ300Kmも走ってないのに、ずいぶん親しくなったように錯覚させられた。
走り屋ではないので、タイヤの端まで使い切ったりはしなかったが、もっと暖かければ(そして仕事がなければ)、どこか山のほうまで走りに行ってしまったこと、間違いなしだと思う。
氷雨が降ってひどく寒かったので、一度通過しただけで帰った。

前の記事で「ヘリに似ている」と書いた音は、四速巡航ではなくてアイドリング時の音だった。

クラッチミートが難しいと書いたのは、アクセルオフで回転数が落ちるのがSRより速いため。フライホイールマスが小さい、と理解していいのか? いや、まったく調べずに言っているけど。
クラッチとアクセルをこれまでの倍ぐらい丁寧に扱うようにしたら、うまく当てられるようになってきた。それを越えて、当てるのが楽しくなりつつある。
腹の中に強大な回転体があって、それに手先をそっと接触させることでパワーを自在に引き出す試みだな、と考えた。ろくろ職人や旋盤工はこんな気持ちなんだろうか。

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2007年11月16日 (金)

納車当日の印象

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昨日、ER-6fが納車された。店頭、高速道路走行後、一般道走行後の印象を書く。比較の元になっているのは前に乗っていたSR400。

1.店頭
・SRに比べて「長い、狭い」と感じた。乗車姿勢の変化と、カウルのために車体の重心が前寄りになっているせいだと思う。
・初めてエンジンをかけ、どるるん、と排気音が響いた瞬間、ドスの利きというか、音の重さを感じた。もっと軽い音(いわゆる耕運機サウンド)だと思いこんでいた。しかし、前回音を聞いたのは、さまざまなマシンが全開で走り回る、ジムカーナの走行会場。騒音にまぎれて、この音に気づかなかったらしい。
・ミラーが遠い。カウルマウントなので、微調整するのに、いちいち体を乗り出さねばならない。

2.高速道路走行後
・加速感があまりないのに80キロを越えていた。速いのだろう。
 SRと同じ苦労で、プラス30Km、余分に速度を出せる感じ。
 カーブなどで60Kmぐらいまで速度が落ちても、ギアを落とさず再加速できる。
・前輪ブレーキ、二枚ディスクなりの効きのよさを感じる。
 しかし後輪ブレーキは存在感が薄い。「あんた、いたの?」と言いたくなる。
・カウルについては期待しすぎていた。SRのメーターバイザーに比べて大きく改善された気がしない。両肩の骨を結んだ線より上と外側には風圧を受ける。カウルは胴体しかカバーしていない。カウルが風流を圧縮するためか、ヘルメットに当たる風は、カウルなしのときよりも強いような気がした。定かではないので、今後意識して確かめてみる。
・2000~3000回転の間に、いわゆる鼓動感の感じられるバンドがあるが、そこより上では波長が縮まって解像できなくなる。一定の回転数で、メーターパネルの左側のどこかから、カウルのフラッターが感じられるが、まだ気にならない。慣れてくるとなるのかもしれない。
低速の鼓動感自体も、どことなく角がなくて柔らかい。金属のピストンが上下しているというよりは、口の中で「とぅるるる」と舌を揺らした時の感触に似ている。
・馴らし運転がだるい。ざっくり1000Kmまで5000回転に抑える程度のつもりでいるが、半分より上に上がらないメーターを見ていると、もどかしい。
 そう思っていたが、5000回転までしか使わなくても、低速からの立ち上がりでは気持ち悪いほど加速する。また、右手の小指に少し力を入れただけで、時速80キロから100キロへスッと伸びる。SRではこのあたり、「手首に力を込めて」アクセルを握らなければ、すぐ減速してしまっていた。
 6000回転からパワーバンドに入り、11000でレッドに至るエンジンだから、まだ実力の半分も出していないことになる。きっと使いきれないだろうが、使ってみたい。
・シートの後席が傾斜しているので、荷物がずり下がってくるのがわずらわしかった。

3.一般道走行後
・FIのせいか、新しいからか、アクセルレスポンスが敏感すぎてクラッチミートしにくい。修練の必要を感じる。
・一速は真面目に仕事をするけれど、ちょっと神経質な小僧。
 二速は回ったと思ったらすぐ三速にバトンタッチする悪ガキ。
 三速は頼れそうだが腕力のない見栄っ張り。
 四速はのったりからきびきびまで意外に幅広くこなす若旦那。
 五速は黙って静かに回る親方。一番仕事が多い。
 六速は滅多に実力を見せない痩せ細ったご隠居。
・四速で適当に流しているとき、バラバラバラバラという音が、どういうわけか2枚ブレードのヘリコプターのローター音のように聞こえるときがあった。
・エンジンを抜けた風が両足の膝の裏に来るので、腿が多少温かくなるという効果がある。冬は助かる。夏が心配。
・走行150Kmに達したところで、「あ、重心見つけた」と思う。
・走行169Kmに達したところで、「やばい、これ楽しい」と思う。
・走行229Kmに達したところで、自宅の駐車スペースがギリギリ(むしろアウト)なことを発見。

4.今朝
・首と背筋がえらく痛い。乗車姿勢が変わったためと、緊張していたせいだろう。

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2007年11月15日 (木)

ジョン平とぼくと4巻

大西科学さんの「ジョン平とぼくらの世界」が本日発売です。先にいただいたので、読んでから紹介しようと思ったけれど、途中までしか間に合わなかった。
今回は短編集です。寧先生の小冒険がいい感じ。
ああしかし、思うけれど、表紙絵の男の子も女の子もみんな髪が黒いって、稀有なライトノベルだ。

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2007年11月12日 (月)

名古屋港開港100周年記念

昨日、名古屋港に日本丸と海王丸が来ていると聞いて、家族で行ってきた。 (10月25日の海王丸は、正しくは引退した旧海王丸で、今回は現役の新海王丸)
家を出たのが午前11時半。セイルドリル(展帆演習)が1時からだそうだから、余裕で間に合うだろうと思っていた。
でも着いたのは午後2時半。
妻には「帆船なんか見に来る人がいるの?」とまで言われていたが、実際には埠頭の2Km手前から大渋滞だった。現地も混雑していて歩くのが大変。まあ屋台や舞台がいっぱい出ていて、楽しかったけれど。
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展帆には間に合わなかったが、総帆状態の両船は見ることができたし、着いて五分後には、今度は畳帆が始まった。最初に大横帆を畳んでから、一番上の小さな六番横帆と、やはり一番上の三角帆を畳む。
しかし、三枚程度畳んだあたりで子供らが帰りたいとぐずつき、妻のいやな顔の度合いが深まる。妻子連れで船を見るのは難しい。やむをえず写真だけ急いで撮ってその場を離れる。
ちなみに、一枚目の写真で左下に少しだけ見えているのはタグボートで、海王丸の船体を岸壁に押し付けるため、たえずエンジンを動かしている。帆を開いてしまった帆船は当然ながら推進力を持つので、押さないと勝手に出港してしまうらしい。

近くの広場でたこやきや串焼きを食べていると、遠目に見える帆船のマストでオレンジ色のものが動いている。やや、作業服姿の実習員だ。帆を巻き上げるだけかと思ったら、縛るところまでやるんだ。そうとわかっていればもっと近くで見たかった。ああもう。

帰りは砕氷艦ふじによっていく。子供らは初回。自分は小学生のときから数えて、三回か四回目。
今回はその前のどの時よりも、ふじを特異に感じた。横幅が広い。装備品がいろいろ変。マストの上に四角い小屋がある。これ以外のどんな船とも違う。さすが南極探検船。
あちこちの船を覗いてきた経験が、ぼちぼち役に立っているようだ。
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2007年11月 5日 (月)

ER-6fに至るまで

先日、ヤマハのSR400を売って、カワサキのER-6fを発注した。
[ER-6f]タグの項目では、うちの読者の方とは別の、バイク乗りの人が見に来ることも考えて書いていきたい。
バイクのインプレでは書き手の経験が問題になる。同じバイクを評価するのでも、書き手が今乗っているバイク、直前に乗っていたバイクによって大きな差が出る。レーサークラスの人が乗れば、ナナハンはまったりして町乗りに最適などという評価になるが、免許取り立ての人間が乗れば、異次元の加速、ということになる。
そのあたりはまったく相対的なことなので、万人が納得するインプレなどというものはできない。小川のインプレも、どうしても、直前のSR400と比較することになる。その辺はお許しを、というかむしろ、そういう変なインプレのほうが多分面白くなると思う。
インプレを始める前に、主要なスペックを比較。

・SR400
排気量:400cc 27馬力 軸トルク:3.0Kg 
エンジン:空冷SOHC単気筒 キャブ仕様
乾燥重量:152Kg
実測燃費:20~22Km/L
ネイキッド チューブタイヤ キックスタート

・Er-6f(マレーシア仕様)
排気量:650cc 62馬力 軸トルク6.4Kg
エンジン:水冷DOHC並列二気筒 FI仕様
乾燥重量:174Kg
実測燃費:-
フルカウル チューブレスタイヤ セルスタート

SRを降りた理由を書く前に、SRに乗った理由から書くか。
SRの前はホンダのビッグスクーター、フォーサイトに乗っていた。非常に便利なバイクだったけれど、フルカバーされているので中身が見えにくい。なぜかそのころバイクのような機械をいじりたいという衝動が高まっており、発作的に、エンジンむき出しの単車に乗ることにした。
そこでSRを選んだ理由は特になかったと思う。たまたま目に付いたから。スズキのTSとも比べた。だが、SRを買った後で、それが実用車というよりはアクセサリーとして使われていることを知った。今から考えると、むしろセローやFTRなどのオフ車にするべきだった。SR以前のフォーサイトでは川原や林道にもよく行っていたから。
とはいえ、買えば買ったで、クロムメッキのパーツを磨くのはけっこう楽しかった。

SRを手に入れてからは各部適当にいじりつつ、ツーリングや取材に出ていた。
この取材というのがくせもの。近県に一人で出かけるときは、電車よりも車よりも二輪のほうが取り回しがいい。実用的な用途が多かったということ。仕事で移動するのに、下道をのんびり楽しみつつなどということはやっていられず、高速に乗った。高速に乗るとSRは弱点を露呈する。振動や風圧。溜まる疲労。ついでに、炎天下ではすぐエンジンがかぶって、かからなくなった。キックスタートを呪ったことが何度もある。
しかしSRが悪いわけではない。SRは80Km以下では非常に楽しかった。だから車種を間違えていたと言える。車種を間違えたのは自分の責任だから、愚痴を言うひまがあったらとっとと乗り換えたほうがいい。(それでもずいぶん長い間、乗りながら愚痴を言っていた……これは申し訳ない)
そこで、振動と風圧がSR以下で、時速80Km以上で楽に巡航できるバイク、要するにツアラーに乗ることにした。

そういうわけで、新機種選定の条件が固まってくる。
・SRよりパワフルでなければならない→400cc以下は脱落。
・疲れる姿勢ではいけない→ハンドルがタンクより低いスーパースポーツ系が脱落
・風圧を避けたい→ネイキッド、アメリカン、オフ車が脱落
・またがりたい→スクーター脱落
※この選択に限っては、好みだとしかいいようがない。スクーターは好きなんだけど、またがりバイクはもっと好きだというだけ。これは両方乗ったから言える。

あとは、取り回しが楽か、燃費はどうか、積載はどうか、という細かいフィルターがかかって、多くのバイクが抜け落ちていき、600セミスポーツのバイクたちが残った。
ER-6f、FZ-6S、SV600S、CBR600F4iといった面々。
「四発はつまらん!」という周りの意見が多かったため、この中から二気筒のERに決めた。しかし俺は一回も四発(直列四気筒エンジン)に乗ったことがないので、一度は乗ってもよかったかもしれない。

納車は来週の予定。

(11/09 文体改訂)

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2007年11月 4日 (日)

千マイル急行・新装版




今夜の世界ふしぎ発見、見ましたか。私は目からよだれを出していました。いいなあ、オリエント急行。
二年前にそれを思い浮かべながら書いた「疾走! 千マイル急行」、文庫版に加筆修正した上下合本の新装版が、今月7日に出ます。

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2007年11月 1日 (木)

上を向いて歩く

日経サイエンス07年12月号は以下のように述べている。

  1960年には10億人が飢えていた。
  2007年には8億人が飢えている。
  
こういう言葉はよく聞かれる。あまり改善していないという論調で使われる。
でも俺としては、同号の示す次の言い方のほうがいい。

  1960年には20億人が腹を満たすことができた。
  2007年には56億人が十分に食べている。

何この驚異的な伸び。
こういった人間のしたことの成果が十分に知られていないと思う。

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