大英帝国上陸計画07 初日の報告
0610イギリス旅行記 1ポンド=230円。
10月22日 日本出発、香港経由でロンドンへ
10月23日 午前五時にロンドン着 イギリス自然史博物館
10月24日 大英博物館
10月25日 ロンドンの南西100Kmにあるポーツマスへ
10月26日 昼前に帰国便に搭乗
10月27日 午後、日本着
●10月22日 日曜 晴れ 暖かい
13:02 名鉄特急
13:37 中部国際空港着 850+300
13:50 フードコートでチャーシュー麺 750円
14:40 出国 免税店では300円の煙草が200円だった。
ボディチェックはなし。早かったので、荷物検査も簡単に済んだ。
パスポートコントロール。
モデムセイバー購入3580円。無税。
15:55 搭乗 キャセイパシフィックCX535 エアバス340-300
席は後ろ右58K 隣人おらず快適
16:35 離陸 高度1000-3000は雲。上空は明るく、夕日のパノラマ。
17:00 ビールとナッツ。カールスバーグ。
17:10 室戸沖で高度12500、速度700Km/h。Mio活躍。
17:30 夕食。チキンのソース煮とライス、ブロッコリー添え。りんごサラダうまし。
18:00 映画は宇宙戦争のパロディをやっている。
20:20 香港国際空港着。夜、霧。28度、蒸し暑い。
香港時間に切り替え。
19:45 トラムに乗る。
香港空港には異様に長い通路があり(一キロ以上か?)、端から端への移動にトラムを使う。
タイヤ駆動、架線は側方。新交通システムみたいな感じ。
WエリアからEエリアに入るところで、赤外線センサーを用いたリアルタイム体温チェックをやっている。熱病対策。検疫。
どうもそこがデパーチャーエリアの出口を兼ねていたらしく、搭乗ゲートに行こうとしたらもう一度持ち物検査をされた。
20:30 パンフレット立があったので拾ってみたら、80HKドルで入れるシャワーがある。出発前にネットで見た覚えがある。快適らしい。行ってみたい。
考えつつ、あちこちに立っているカード端末でインターネットをしようとしたら、クレジットカードが通らん。expiredだと表示される。期限切れだと? 念のため他の端末を二つ試したが、全部に突っ返された。非常にまずい。現金を五万円相当のポンドでしか持って来ていないので、カードが使えんとなると結構切り詰めなければならない。こんなところでシャワーなんぞ入っている場合ではない。
シャワーは例の長大通路を一度戻ったところにある。一応ムービングウォークを通ってそこまで行ってみる。しかしそこは白人男女の集うセレブな雰囲気のラウンジ。専用のカードを提示せよとある。気後れする。
しかし当たって砕けろの精神で、きゃないゆーずしゃわーるーむと聞いてみると、Only shawer? Go back and turnleft, stearupなんたらかんたらと丁重に言われる。シャワーは別の場所で、使用可能らしい。指示通りというか、山勘でエスカレーターを上ると、それらしい場所があった。入れたし、カードを提示するとちゃんと使えた。あの機械め、何がエクスパイアドか。
21:34 シャワーは大理石張りの個室。ボディソープとバスタオルがつき、湯量も湯温も十分。しかも他に人がいない。これだけの大空港でトランジットの客も誰も風呂には入りにこないとは何事か。日本円換算で1200円、やや高いが快適だった。
22:00 ゲートに戻る途中、長大通路(結局そこを一往復半した)の中ほどでワイアレスLANのホットスポットを見つける。ノーパソはあるが、あいにくLANカードがトランクの中だ。あきらめる。
22:30 ゲート近くの六階で夜食。中華風肉入りちまきと香港ミルクティーを頼む。48HKドル、650円ぐらい。見た目はシンプルなもっちりちまきでおいしそう。
しかしこれが、食べ始めると中華っぽい薬草系の風味と餅のような重さで、恐ろしく胃に堪えて、たちまち箸が止まる。口直しにミルクティーを呑むと、これもなんかこう、お茶分が妙に重い。えぐい。結局どちらも3/4食べて残した。
23:00 1番ゲートに移動し、23:55発ヒースロー行きのCPX251便を待つ。
出稼ぎ便なのか色黒のアジア人がけっこういる。観光らしい韓国人おっさん団体がべらべらにだにだしゃべっている。白人は1/3ぐらい。
23:30 CPX251 B747-400 59K席
●10月23日 曇りのち雨
4:25 第一回天測 46 45 59 91/97 16 44 71 9350m
5:40 第二回天測 53 56 00 63/ 86 31 04 68 9127m 恐らくノボシビルスク
10:24 第三回天測 59 04 22 58/ 26 11 04 86
街の明かりはいつもロウソクのようなオレンジに見える。夕日が赤くなるのと同じ原理ではないか。
着陸前に朝食が出た。以後しばらくの間で一番うまい食事だった。
10:23 GMT6:01 到着
以後、GMTで表記。
6:30 入国 EUからの入国は入国審査必要なしだった。
パスポートコントロールでの質問は、「一人か」「目的は」「何日滞在する」「帰国便はあるか」「初めてか」など。
8:00 ヒースローから地下鉄(チューブ)に乗る。ロンドンの地下鉄はゾーン制である、というのはどこのガイドブックにも書いてあるが、そのゾーンというのがどういう範囲なのか、来るまでよくわからなかった。来てみるとマップがあり、ロンドン中心部から同心円状に1から6までの領域が設定されている。具体的にはその地図を見なければわからない仕組みだった。三日有効のトラベルパスを買おうとしたが、よくわからない言葉で言い返され、ドゥユーアンダスタンとまで言われる。いや、アンダスタンではない。仕方ないので引き下がり、自販機で片道チケットを買う。
乗る。車両はかまぼこ型で日本の鉄道より断面が小さい。多分これは、トンネル掘削の労力を省くためにそうしたのだと思う。(車両とトンネル側面も天面も本当にすれすれなのだ)。架線がないのもそれっぽい。架線がなければトンネル断面を減らせるから。
写真1 走るカマボコ、ロンドンの地下鉄
車両には馬鹿でかいアングロサクソンの兄ちゃんなどが身を縮めて乗ってくる。狭そう。しかし人種はさまざまで、白人、黒人、フィリピン系らしい茶色いの、中国人ぽい黒髪、ラテンぽい巻き毛など、各種取り揃えている。いちばん体臭が印象的なのは白人かな。わりといい匂いの人が多い。いや、香料なのかこれは。
発車アナウンスはない。いや、アナウンス自体はたまにあるが、何を言っているのかわからない。ゴトゴト揺れながら低速で走る。サスペンションが悪いらしい。鉄道先進国のくせに、ずいぶんやぼったい電車だ。
グロウスター駅の二つ手前のバロンズコート駅で降りる。歩きたかったから。ここまで暗かったがようやく明るくなってきて、線路の両側のレンガ造りで煙突のある家々が見えてきた。おわー、ロンドンだ。
駅の外で揚げベーコンパンとミルクを買う。
ところが目的地が思ったよりも遠く、一時間以上も歩く羽目になった。おまけに揚げベーコンパンは手に油が染みてべたべたになった。
国道A4号沿いにひたすら東へ。二階建てのバスが追い越していく。
ここまで、Mioにインスコしてきたロンドンマップ(手製)を照合させようとしたが、成功しなかった。座標値の設定がよくなかったのかもしれない。以後、ナビの使用はあきらめる。
9:00 ホテル着。グロウスター駅の近くにある、アンバサダー・アールズコートホテル。周り中ファサードのある建物ばかりなのに、一軒だけずんべらぼうな装飾のない造りだったので、すぐにわかった。バゲジルームにトランクを預ける。
最初の目的は、ホテルの近くの自然史博物館。徒歩で向かう。10分ほどで着く。
しかし、開館が十時だったので、それまで近くのサウスケンジントン駅に行って、レモンティーと目玉焼きパンのブランチをとる。また、この国は駅にトイレがないので、ついでにここで使わせてもらう。
写真2 自然史博物館前駅に並ぶリアトランクの群れ
10:00 博物館入場。博物館にはトイレがあった。
11:15 恐竜、海竜、昆虫、エコのところを見ただけでくたくたになる。
恐竜コーナーはアロサウルスだのイグアノドンだのの骨がある。あまり恐竜萌えするたちではないので適当に流したが、パラサウロロフスの、例の後退角の付いた角の生えた頭蓋骨がデンと置いてあったのは、思わず感嘆する。頭だけで大型犬ぐらいあったな。
ティラノサウルス・レックスは、一番奥に個室というか独り占めのコーナーがあって、さんざんパネルでもったいをつけてから見せられるのだが、なんとハリボテ、しかも分解修理中だった。興醒めなことはなはだしい。
メアリー・アニングの見つけた海竜の化石の前で、通行人に写真を撮ってもらう。11歳でドーバーの崖に海竜化石を見つけたこの女の子のことを、初めて知ったのは小学校のときに読んだ学研漫画でだったか。犬を連れてボンネットをかぶった肖像画の実物に対面した。これで本日の予定イベントを一つ達成。
昆虫コーナーは収集品の展示というよりは、子供向けの教材コーナーみたいになっていた。やたらとグロテスクなミールだのワーム類だのがうようよ飾られている。30センチもあるムカデを白人家族がオーオー言いながら見ている。日本のこの手の博物館のようにむやみにマスコットキャラクター化せず、とにかく写実的に展示してある。模型も絵も無駄にリアル。
12:30 石とミネラルと地球のコーナーを見てきて、もう死にそう。スーベニアショップでダイエットペプシを買うが、500ml一本1.5£、すなわち330円!
レストラン周りには家族連れがあふれ、床や階段でみんな食べている。その片隅でペプシを飲み、ポテチを食べた。白人の子供たちがまた、めちゃくちゃかわいい。どれもこれも妖精のようだ。うちの子らをつれてきたらどんな行動をとるだろう、と考える。五歳の下の子が、最近女の子と見れば口説こうとするのだ。
しばらく座っていると体力が回復したので、また出る。
13:30 本館鉱石コーナーは2列42棚で70メートルあった。
南入り口の直上の二階通路で、むやみと落書きされた壁板を発見。日本語がなかったのにほっとする。
哺乳類と魚類も見る。ブルーホエールすなわちシロナガスクジラがでかい。というかムースもクマもみんなでかい。
みやげ物を買う。帰ったらすぐDAINACONがあることだし、何か気の利いたものをと思ったが、案外普通のおみやげばかりだった。妙な虫のマグネットとトランプなどを買う。
チェックインしにホテルに戻る。
14:30 スーパーで買い物。
歯磨き粉、パン二種、エビアン二本、カップヌードルなど。肉は安いのかも知らんが、一人で買えるような分量ではあまり安くはない。
というか、ポンドが強い! 同種の商品の中で最も安い部類のものでさえ、日本円換算してみると日本の1.2倍から1.5倍ぐらいする。明白に円安の被害をこうむっている。しっかりしてくれよ日本経済。
そうそうそれに、こっちでは日本車をほとんど見ない! 当たり前といっちゃ当たり前だけど、悔しいぞ。もっとイギリスで売れ。そして円を上げろ。
あと、オートバイでは比較的日本車を見るが、ヨーロッパ勢も多い。体感的には五分五分ぐらいか。そしていかにも格好に構わないイギリス風に、リアボックスをつけている車体がかなり多い。GIVIなんかのプラスチックのやつね。
15:00 ホテルにチェックイン。往復の航空券とセットで三泊なので、一泊いくらかはわからない。部屋に入ると、シングルベッドの他にクロゼット、テレビ、デスク、電話と、トイレつきシャワールームあり。ただしバスはなし。テーブルやソファーもなし。壁が薄くて両隣の会話が余裕で聞こえる。感覚的には日本の5000円ぐらいのビジネスホテルと一緒か、それより落ちるかも。だがこっちでは一万円以上すると思われる。
電話のモジュラージャックは六芯の英国式で、持参のは使えない。
入室してすぐシャワーを浴びたら、大変億劫で出たくなくなった。が、高い金払って15時間もジャンボに乗って来たのだから、だらだら寝たり本を読んでいるのは許されない。無理をしてでも出ることにする。
17:00 グロウスター・ロード駅からピカデリー線に乗り、ピカデリー・サーカスで下車。萩尾望都の漫画を思い出しつつ、方位磁石を見ながら南下。小雨がぱらつくので傘を広げる。テムズ川を見て、適当にうろついて、パブでメシ食って帰ってくるというのが目標。
女神と兵士たち(いわゆる赤ザリガニたち、つまり英国陸軍兵)の、台座に乗ったブロンズ像を見つける。説明を読むと、クリミア戦争記念碑であった。
その辺りから、台座つきブロンズ像の姿をやたら見るようになる。たいていは国に貢献のあった軍人やら政治家。南方に、むやみと高い塔に乗っかった像が見えたので、てっきりネルソン像だろうと思いながら、あたりの小物を見物していく。エドワード七世やら、極地探検に出たフランクリンやら。極地探検のフランクリン? ベンジャミンのほうじゃないのか? そう思って持参の電子辞書で調べてみると、北極へ行って全滅した方のフランクリンだった。南無南無。
南方の像の足元へ着いて、愕然とする。フレデリック・デューク・ヨーク、ヨーク公爵フレデリックとある。あれえ、ネルソンってこんな称号だったか? あわてて地図を見ると、場所が違った。ネルソンのいるトラファルガー広場は一本向こうの通りだったよ!
向きを変えて東へ。何やらローマンアーチを連ねた白亜の凱旋門が見えてくる。ビクトリア女王の戦勝を記念した(つまりネルソンに勝たせた)アドミラルティ・アーチだった。
(あとで気づいたのだが、この時西を向けばバッキンガム宮殿が見えたはずだった。写真撮影どころか目視すらし忘れた)
このへん、ローマ帝国時代を髣髴とさせるものがぱらぱらとあって面白い。このアーチやら、エドワード七世に彫られたラテン語のレックス・インペラトールの文字やら。ああ、それに市内のどこでも見かけるアパートの玄関は、たいていローマンアーチのファサードになってるし。イギリス人のローマ帝国好きが出ている。ロンドンの名所はギリシャ式かローマ式かゴシック式、と。うむうむ。
そうそう、海軍アーチの手前ではジェームズ・クック提督の像を見つけたよ! これがいちばん嬉しかったな。シャクルトン像もあれば言うことないんだが。
トラファルガー広場に入ってネルソンを望見。この時はまだ明るかった。
それからテムズ川へ向かうつもり、でさらに南下してしまう。この辺りはブロンズ像だらけ。生憎この時はガイドブックを持ってきていなかったので、ホースガーズだのダウニング街10番(首相官邸だ)だのビッグベンだの、そこらに山ほど名所があるのをほとんど見逃してしまった。旧海軍省だけは、道沿いの小さな銘盤で気づいたけどさ。
また道を間違えていることに気づいて、東へ変針、グルカ兵の像をみつける。もうなんか、こいつら戦勝国だと思って飾りたい放題だな。戦争やってごめんなさい、ってニュアンスはどこにもカケラもない。国のために散華してくれてありがとう! 僕らは君たちの事を忘れないよ! ちゃんとこうして花輪も飾るよ!(そしてこれからもこの調子で行くよ!)みたいなことを、みんなで盛り上げている風情だ。
右手のビルになんとなく軍隊っぽいものを感じつつ、そこの中庭の像に引かれてふらふら入って行くと、なんと芝生に十センチぐらいのキノコがざわざわ生えている。うわー、異国だ。こんな植生日本で見たことねえ! 誰か採らないのかよ。
採らないのも道理で、後で地図を見ると、そこは国防省の庭だった。俺、国防省ビルをばしゃばしゃ撮ってたけど、よく捕まらなかったな。
写真3 英国国防省が秘密栽培する戦略的キノコ
ようやくテムズ川を拝む。
テムズ川は茶色だった。あまり海の香りもしない。ロンドンの新名所である観覧車、ロンドン・アイを正面に拝む。
近くに船がもやってあり、船上バーとなっている。PSタターシャルキャッスル号という船で、説明を読むと、どうやら戦争で活躍した輸送船のようだ(またかよ)。
このキャッスル号で晩餐をとることに決定。
理由:パスタがあったから。
出発前ミクシィで、「イギリスのパスタはまずい、連中はアルデンテがわからないから」という忠告を得て、ぜひ確認せねばならんと思っていたのだ。乗船して、例によってへどもど英語でパスタとビールを注文し、窓際の席について待つ。
来た。……のだが、これ、違うぞ。麺じゃねえじゃん。いわゆるスパゲッティじゃないほうの、ギョーザ状のパスタがきやがった。これではアルデンテを確認するもくそもない。
仕方なく、そのまま食べる。
この時、船内に客は六分の入りで、雰囲気はとてもよかったのだが、いかんせんこっちの気分が最悪だった。まず疲労。ずっとまともな会話をしていないという気詰まり。言葉のハンデ。「クレジットカード」を聞き分けられず、「エールをくれ」が通じなかったのはさすがに堪えた。ビアプリーズでしのいだが。おまけにパスタとビール合わせて10.5£、2200円。2200円払って油っこいほうれん草サラミパスタを食っているってのは、なんだかなあ。昼間にエネルギー補給のためにいろいろ細かいものを食べたので、ろくに胃に入らない。つうかもともと少食だ。そして食に貪欲でない。
ロンドンアイを眺めて、剛構造でないことに気づいたりする。自転車の車輪と同じ、スポークホイールなのだ。テンションで円形を保っている。えらいもん造ったな。
結局、パスタもビールも食いきれずに店を出た。大食らいになりたい気分。
トラファルガー広場へ戻る。ここまで何本も道路を横切っているが、イギリスの歩行者は信号を守らないのが作法である。車の来ないときにさっと渡る。しかしよくしたもので、大きな道路にはたいてい中央分離帯があるから、危ないときはそこで立ち止まって待つのである。そうやって歩いていく。
飯を食っている間に日が暮れたので、ネルソン提督はもはやよく見えなかった。トラファルガー広場からはピカデリーサーカスの駅よりレスター・スクエアのほうが近いように見えたので、そちらへ行く。しかし駅が見つからない。ええいままよとまたもや方位磁針を取り出し、西へ行けばピカデリーの駅へ戻れるだろう、と歩く。
すごい人手。この間行った池袋に匹敵するぐらい。傘を差したり閉じたりしながら、マックを覗いたり土産物屋を覗いたりしながらピカデリーの駅に到着。ピカデリーへ来る前に、16ポンド払って三日有効の切符を買ってあるが、これも高いな。三千五百円だ。まあ、初乗り660円なのでもともと高いんだが。出勤退勤時を含むピークタイムチケットを買ったらそうなった。
19:00、帰って疲れ果てて寝る。
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